column

コラム

学習デザインを知り「学びのアップデート」を実装する

新たな学びを構築する日本フューチャーラーナーズ協会です。

コロナの影響やDX化によって多くの企業がオンライン研修を実施するようになった今、「研修のあり方」が大きく変化しています。国内外を問わず、2010年頃までは従来の集合型研修が一般的でした。しかし、様々な学習ツールが発達する今日「一方的に実施するだけの研修」は終焉を迎えたといっても過言ではありません。

 

若い世代の「学び」に対する価値観は大きく変化

若い世代を取り巻く教育現場も大きく変化しています。オンライン授業が当たり前のように実施され、世界では「ミネルバ大学」、日本では「N高等学校」などが注目を集めています。学習アプリなどで典型学習を効率的に実施できるようになりましたし、YouTubeの動画コンテンツで理解を深めることも可能です。

「学び」のスタイル「学び」に対する価値観は、世代間で大きく異なることも視野にいれるべきでしょう。様々な学習コンテンツが無料で視聴(インプット)できる今、若い世代を中心に行動・体験(アウトプット)に抵抗感を感じる人が増加しています。

 

研修講師に求められる変化対応

企業研修を導入している人事担当者からは「一方的なオンライン研修に不安を感じる」「研修で期待した効果が得られない」といった声を多くいただきます。従来の研修では研修を「実施すること」が重視され「学習の定着」という視点が欠如していました。

学びの環境が激変する今、研修講師に求められる変化対応とは何でしょうか?今回は、研修講師に求められる「学習デザイン」とオンライン研修の活性化手法について解説します。

オンライン研修でも参加者を惹きつける学習デザイン設計を

「学習デザイン」とは、学習のプロセスをつくることです。ここでの「学習」とは「知っている」だけではなく「できる」ようになることを意味します。昨今の学習トレンドは、研修のオンライン化に伴って大きく変化しています。研修の主催者・講師側はオンライン研修の形式を整えるだけではなく、そもそもの学習デザインから見直す必要があるのです。

「受講者が参加しているのか、参加していないのかが分からなくなる」

「受講者の反応がなく、集中して参加していないように思える」

「研修画面を視聴しながら、明らかに“内職”をしている」

第一線で活躍するプロの研修講師からも、このような声が多く寄せられます。

受講者は自宅のPCの前で座っています。テレビを観ることも、スマホでメールをやり取りすることも可能です。オンライン研修では「研修に集中させるための仕掛け」が必須といえるでしょう。ここでは、オンライン受講者を惹きつけるためのポイントをご紹介します。

 

LX(Learning Experience)に基づいた参加者の「感情曲線」を意識する

企業の製品・サービスが市場でユーザーから支持を得るためにはUX(User Experience:ユーザーの体験)に基づいた「使いやすさ」が重視されるように、研修においてもLX(Learning Experience:学習者の体験)を考慮した設計が必要です。

【 研修告知 → 事前課題 → 研修本番 → 現場活用 】という参加者の一連の行動において、参加者がモチベーションを上げるタイミング、集中力が切れそうなタイミングなど「あらかじめ想定される感情曲線」を考慮した構成を心がけるべきです。

 

Use Of Self(ユース・オブ・セルフ:自己の活用)

Use of self(自己の活用)とは、講師が自らの「観察」「価値観」「感情」に基づいて受講者へ働きかけを行うことです。

「今日は皆さんとお会いできて嬉しいです」

「今日のテーマについて、私はこう感じています」

など、講師自身の「ものの見方」や「考え方」を受講者に伝えることで、コミュニケーションを円滑化することができます。但し、自信の考え方や主張の押し付けとならないよう注意が必要です。

 

質問やチャットに対する「反応」を大切にする

リモートにおける「参加しやすい環境・雰囲気づくり」は対面型と異なります。

「私が喋っている最中でも積極的にチャットで質問してください」

「貴重な質問をいただきましたのでここで共有します」

「〇〇さん、素晴らしい意見をありがとうございました」

など、質問をしやすい環境を構築し、参加者へのリアクションと感謝を意識しましょう。

的外れな質問や回答を否定してはいけません。「私でもここに参加して大丈夫」と全員に感じてもらうことが大切です。

 

参加者同士の関係性を構築する

オンラインで参加者同士の関係性を構築するためには以下のような工夫が必要です。

・自己紹介・他己紹介を4名程度の小グループで実施する

・制限時間を設けた課題をグループ単位で取り組んでもらう

・発言者を受講者から指名してもらう

オンラインのグループ設定は、対面型よりも自由度が高くなります。グルーピングを工夫することで、研修そのものが活性化されるでしょう。「お茶会」「懇親会」などの交流のための時間をつくるのも良いでしょう。

 

4~5分に1回参加機会を作る

オンライン研修の受講者の集中力は4分から5分が限界とも言われています。

・受講者に対して質問をする

・質問などをチャットに記入する時間をつくる

・ブレイクセッションなどで「会話」の時間をつくる 等

ZoomやTeamsのツールを活用しながら受講者を巻き込むように工夫すると良いでしょう。

 

「事前40:本番20:事後40」の法則

研修の成否は、本番よりも事前準備と研修後のフィードバックに左右されると言われています。ウェストミシガン大学のロバート・ブリンカーホフ教授によると、研修の重要度の割合は【研修前:40、研修本番:20、研修後:40】とされています。

つまり、研修担当者・研修講師は、「研修当日」だけではなく「研修前」「研修後」も含めて企画をすることが大切です。また、研修効果を定着させるためには、単にインプットしているだけよりも「練習とフィードバックを繰り返す」ことが重要となります。この点、オンライン研修の特徴を活かして、学習データを収集し、それらを学習者にフィードバックすることも有効です。

 

養成講座でより実践的に「学習デザイン」について学びませんか?

オンライン型・対面型双方の強みを活かす「ブレンデッド・ラーニング」が主流になりつつある今、効果的な学習デザインの設計は不可欠です。

テクノロジーの進化とともに学習の形も変化していく必要があります。「ブレンディッドラーニング・デザイナー養成コース」ではPC ・モバイル機器などを活用しながら、迅速かつ効果的にブレンド学習コンテンツを設計・開発する基本を学ぶことができます。私たちは、皆様の研修の”伝え方”を再構築し、他の研修と差別化するお手伝いをいたします。

「ブレンディッドラーニング・デザイナー養成コース」