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コラム

オンライン研修のグループワークを円滑に進めるには

新たな学びを構築する日本フューチャーラーナーズ協会です。

突然ですがオンライン研修には慣れましたか?スムーズにできていますか?研修という研修がバタバタとオンラインに移行したのは昨年の春。ウイルスの猛威は依然として変わらず、もはやオンライン研修はいっとき凌ぎのものではなく、スタンダードなものとして定着しつつある状況です。

さて、オンライン研修の課題としてよく聞かれるのが「グループワーク」。リアルでは当たり前のように行っていたグループワークを、オンラインで行うとどうにも上手くいかないという声もちらほら耳にします。テクニックの問題、内容の問題、様々な角度から紐解く必要がありそうですね。

そこで今回は、企業研修のリーディングカンパニーであるパーソルラーニング株式会社の研修講師である瀬戸亜美氏にお話を伺い、「グループワーク」を円滑に進めるためのヒントをいくつか教えていただきました。

 

グループワークにおいて集合研修とオンライン研修ではあまり変わらない?!

そもそもグループワークを難しく考えていませんか?こんなことを言うとびっくりされるかもしれませんが、私自身ファシリテーションの場がオンラインに変わったことで不自由を感じたことがありません。グループワークも然り。世の中には優れた学びのプラットフォームがたくさん用意されていて、それらを利用すれば簡単な操作でオンラインによるグループワークをスムーズに行うことができます。もちろん細かい制約はあり、リアルでできていたことの全てがオンラインでも可能かと言われたらそうではないのですが、環境が変わればそれは仕方がないことです。逆に言うとオンラインになったことでグループワークの可能性が広がったと感じているくらいで、画面共有や参加者に対する声かけなどで集合研修よりも参加者を細かくフォローできています。

まだまだ試行錯誤の日々ですが、私はオンライン研修への移行をポジティブな変化と捉えています。しかしそれは抑えるべきポイントをしっかりと抑えているからであって、リアルで行っていた方法をそのままオンラインに移行したわけではありません。そこには流儀とも言えるいくつかのポイントがあるのも事実です。次項から詳しく説明していきますね。

 

オンライン研修のグループワークに必要なこと

オンライン研修にも様々なバリエーションがありますが、そのほとんどが全員で行うパートと少人数に分けてグループワークを行うパートの組み合わせで構成されています。最初から最後まで一人の講師が全員へ向けて講義を行うというものもありますが、その効果についてはいささか疑問があります。さて、グループワークについて参加者の視点で考えてみましょう。数分前まで講師が進行してくれていた課題を、いきなり数人の参加者による密室空間で行うことになります。講師はグループワークが行われている各部屋を回りますが、それ以外の時間はまったくグループメンバーだけの閉じた世界です。リアルの研修では隣のグループの様子や全体の様子を肌で感じることができましたがオンラインではそうはいきません。その不透明感が不安に繋がり、議論もままならないという事態も起きかねないですよね。

そこで必要になってくるのは、念入りな下準備と参加者のマインドセットです。下準備と言うのは、グループワークの目的を明確化し時間内の到達目標を立てることであり、そのための道筋も細かく指南することです。グループワークの全貌を見せるということですね。そしてグループ化された時の役割分担も決めておくことで、より議論がスムーズに展開されるかと思います。最低でも司会進行(ファシリテーターの役割も兼任)と書記は必要です。話が脱線しないように口頭だけで話を進めずに、きちんと可視化しながらグループワークを行うことが大事なのです。

そして参加者のマインドセット。目的や到達目標を共有できたのであれば、参加者が当事者意識をもってそれらに向かっていく必要があります。オンライン研修の途中でグループワークに移行すると、議論の母数が減ることになるので一人一人の発言のウエイトが大きくなりますよね。そこでは誰もが主役になり、決して議論の傍観者にならずに前のめりで参加するくらいの意識を持つことが求められます。そのための仕掛けとして「グループワーク終了時に成果を発表してもらいますが、誰を指名するかはわかりません」などの事前アナウンスがあると身が入るかもしれませんね。

 

 オンライン研修に適した「研修のデザイン」と「ファシリテーション力」を

 

「研修のデザイン」について

今までリアルな集合研修で一定の成果を上げていたとします。それを今度は「オンラインでやろう」となった時に、研修内容も構成も変えずにそのまま移行するのは危険です。リアルからオンラインへの移行というものは思っている以上のドラスティックな変化を伴い、それが正しく行われていないと研修がたちまち劣化してしまうのです。オンライン研修を設計する際の注意点としては以下の3つがあるので、しっかりと抑えておきましょう。

 

1、オンライン時の集中力は対面時よりも短い!コンテンツの長さには注意しよう

 オンラインにおける集中力の限界は対面時よりも大幅に短いというデータがあります。例えば対面で60分間講義を受けるのと、オンラインで同じく60分間講義を受けるのとではストレスや疲れ方が全然違うそうです。通信の不具合や雑音などで、対面よりも注意力が必要なことも原因として考えられますよね。そもそも人間の集中時間には限界があり、25分以上の集中は脳が消耗していくということが生理学で解明されています。1~5分とまではいかなくとも、せめて15分くらいを一区切りとして、途中でアンケートやクイズなどを取り入れながらオンライン研修を設計していくことが望ましいでしょう。

 

2、双方向性はマストではない!目的に応じて慎重に取り入れよう

 オンライン研修に双方向性を取り入れるにあたっては、その学びの目的を第一に考えなくてはなりません。双方向性は特定の学びに対しては効果を発揮しますが、相性があまりよくない種類の学びもあるからです。双方向性は取り入れ方によっては集中したい気持ちを削ぐノイズのようなものになってしまいます。塾考する時間、内省する時間なども考慮にいれながら、学び手の視点に立って設計することも大事ですね。

 

3、ガイドラインを示して迷子を防ごう!

オンラインという性質上、操作の問題を無視するわけにはいきません。ボタン一つで全く違う世界へ連れて行かれてしまうのが良くも悪くもオンラインの性質で、操作をひとつでも誤るとたちまち学びから脱落してしまうのです。

そこでオンライン研修では、丁寧すぎるガ操作のガイドラインと講義中の声掛けが必要になってきます。オンライン研修への入り方に始まり進行につれて必要になってくる各種操作の方法など、過剰なくらいに細かく説明して下さい。ここで躓きがあると、たちまち学習意欲が低下してしまうからです。「これくらいはわかっているはず」「これくらいのことはできるはず」と相手を過信せずに、どもまでも優しく丁寧に導いて学び手を安心させてあげましょう。

 

「ファシリテーション力」について

ファシリテーション力もこれまで以上に必要になってきます。ファシリテーターの役割に忠実になると「発言や参加を促し、話の流れを整理するなどして、場が円滑に進行するように中立的な立場でサポートを行う」ことになりますが、それがオンライン研修となった場合には、これだけでは十分と言えません。例えばグループワークとなった際に、従来の集合研修では隣接するグループの様子を垣間見たり、会話の端々を拾ったりすることができました。横から発せられたハッとするようなキーワードや、斬新な議論の切り口などに影響され、「こっちも負けてられないぞ」となり相乗効果を生み出しているような側面もありました。しかし、オンライン研修におけるグループワークではこのようなことが起こりにくいことも事実です。会話を拾うどころか、場の空気を読むことや肌で感じることもできません。そこで、それらを補うためのフォローもファシリテーターの役割になってきます。

ファシリテーターはグループワークの時に各部屋を回ります。そこで起っている議論、発せられたキーワードなどを蓄積し、グループ間でシェアできるように適宜伝えます。その時起こっている有益な情報をリアルタイムで共有させていく作業ですね。全体へ向けてアナウンスする方法もありますし、その情報を必要としているグループのみに伝えても良いかもしれません。このようにファシリテーターが“触媒”となって議論を活性化させることがオンライン研修には必要なのです。

 

ブレンディッドラーニング・デザイナー養成コースで学べる事

日本フューチャーラーナーズ協会が開講している「ブレンディッドラーニング・デザイナー養成コース」は、学びのコンテンツ、デバイス、ツールなどの組み合わせによって効果的な社内研修や会議などを設計するための実践的な手法を学びます。完全オンライン対応の学習機会となっているので、これから常態化してくるだろうオンライン研修にも適用できます。講座では以下のスキルを身につけることができます。

1、新しいテクノロジーを活用し、主体的で協働的な学びを体験しながら、自分でも設計できるようになる
2、集合と個別、2つの学習機会を使い分け、学びの生産性を高めることができるようになる
3、効果的な学習機会を創出するために、既に確立されている理論と新しい理論の両面をおさえ、効果的な学習の場を企画・運営できるようになる
4、デジタル学習コンテンツ制作の基本を、自分自身でコンテンツ制作する実習を通して、時間もコストもかけずに制作できるようになる
5、新しい技術に関する情報を取捨選択する知識ベースをつくり、継続して学び合う仲間を得ることができるので、新しい学びの最新知識や生の事例収集が容易になる

「ブレンディッドラーニング・デザイナー養成コース」は、これからの学びを牽引する企業の経営者の方や人事・人材育成担当者の方には是非受講していただきたい講座となっております。ご興味のある方は、是非お気軽にお問い合わせください。

 

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