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コラム

オンライン会議を円滑に進める方法。オンラインラーニングファシリテーターのテクニックを取り入れてみよう

新たな学びを構築する日本フューチャーラーナーズ協会です。

コロナ禍ですっかり定着した感のあるZoom会議。集合・対面による会議が不可能になったという必然から、急遽Zoomなどによるオンライン会議に切り替えたという企業は多いと思います。移行から数カ月が経ち、Zoom会議というスタイルにすっかり慣れた今となっては、次なる段階として「いかにしてオンライン会議の質を上げていくか」という問題に直面しているのではないでしょうか。

そこで今回はZoom会議を円滑に進める方法と題して、オンライン会議の様々な悩みにお答えしつつ、オンライン会議の質を上げるためのいくつかのポイントをご紹介したいと思います。

 

「その会議、本当に必要ですか?」その問いかけから始めよう

リモートワークになって通勤時間がなくなり、本来ならばその分の時間を“まるっと”仕事に費やせるはずが、なぜかいつもよりも忙しくなっている方もいるのではないでしょうか。気付けばオンライン会議だらけになっていて思うように自分の仕事ができない…。それは場所や移動の制約がなくなり、会議を催しやすくなったという意味で「会議ラッシュ」が起こっているのです。

会議を催す側(上司、マネージャー)としては、リモートワークになり社内のコミュニケーション不足や勤怠管理の不安などから、つい明確な目的もないまま「取りあえず集まってみようか」とオンライン会議を催してしまっている場合もあります。しかしこのような会議には落としどころがないので、参加者はどこに向かっていいのかわからずに議論が消化不良に終わってしまうこともあります。オンライン会議とはいえ一定時間拘束されることには変わらないので、これでは単に時間の浪費ですよね。

そうならないためにも、オンライン会議を催す際には「何のための会議か」「今やることに意味はあるのか」「その会議は本当に必要なのか」を今一度真剣に考える必要があるのではないでしょうか。

 

オンライン会議に変更になった!さあどうする?~マネージャー(上司)編

会議をオンラインで行うということは、これまでの前提や常識をガラリと変える必要があるということです。以下ではオンライン会議に変更になった時に起こり得る問題を、マネージャー(上司)編として技術面と内容面に分けて解説します。

 

<技術面>

意外とあなどれないのが技術的な問題です。オンライン会議を催すにあたっては、リモートで(おそらく自宅で)仕事をしている社員一人一人のデバイスがそれに対応していることが前提としてあります。しかし今の時代はスマホで大抵のことが足りてしまうため自宅にPC環境がない社員も多く、会議の参加者の環境に差が出てしまっています。このような社員の環境のバラつきをどうフォローするかという問題をクリアしないことには本題へ入れません。環境設定は会議が円滑に進むかどうかを左右する重要な部分なので、会社としてもしっかりと対策をしておきましょう。

次に、会議で使用するアプリ(ここではZoom)をきちんと使いこなせるかという問題があります。Zoomには会議を円滑に進めるための様々な機能があります。チャットやホワイトボード、画面共有やファイル共有などがあり、これらを駆使すれば集合して行われる会議と何ら変わりない進行が可能です。ただ単にお互いの顔が映り合っているだけのZoom会議にならないためにも、主催者であるマネージャーはこれらの機能を熟知した上で(もちろん、社員にも事前に使い方を周知させて)フルに活用すべきですね。

 

<内容面>

技術面が解決されたら次は内容面です。問題は以下に分類できます。

1 会議の輪郭がぼんやりしている

会議は意思決定が最終的な落としどころになります。ただ社員を集めて仕事の進捗を確認し合うような目的で催すのであれば、会議は本来の目的とかけ離れたものになってしまいます。リモートワークになり社員の様子がわからないという不安から集めてしまう事情もわかりますが、会議と称するからには目的をはっきりさせ社員にも事前に概要を通達すべきです。何のために集まったのかという疑問を抱かせないためにも会議の仕立てをしっかりと行い、全体の輪郭をはっきりさせましょう。

 

2 人選が上手くいっていない

会議に参加するメンバーが適切かどうかという問題もあります。オンライン会議では場所の制約がないので、何人でも参加者を招集することができます。しかし、オンライン会議とは双方向性を取り入れて広く意見を拾うことで活性化されるものなので、参加者が多過ぎて一人一人の発言の機会が少なくなってしまうのはもったいないことです。このようなことのないように会議に参加する人選は慎重に決める必要があります。オンラインになったからといって欲張って誰彼なしに声をかけてしまうと逆効果になります。

 

3 会議のメンバーの参加度に開きがある

会議に参加しているメンバー=社員の参加度に開きがあることも問題としてあります。オンライン会議では積極的に発言をする人とそうではない人の差が顕著に出てしまいます。発言の少ない社員に対する働きかけや促しも対面では表情や様子を見ながら気軽に行えましたが、オンラインになってしまうと相手の様子が伝わりにくく、声掛けもしにくいものです。

そして、社員一人一人が本当に会議に集中しているかどうかを把握することも大事です。それぞれがPCを立ち上げているため、もしかしたら他の作業をやりながら参加しているということもあり得えます。そのようなことが起こらないように会議ではグランドルールなどを設けるというのもありかと思います。

 

4 会議の中身が薄い

オンライン会議は慣れの問題もあるかと思いますが、場としてのまとまりが集合時に比べて弱い面があります。本来ならば個々からもっと良い意見やアイディアが引き出せるはずなのに、オンラインになって上手く引き出せなかったということも起こり得ます。このようなことのないように、主催者は会議で社員一人一人が十分に能力を発揮できるように会議の全体を設計しましょう。会議は10分や20分で終わるものではありません。1時間や2時間に及ぶ場合もざらにあります。集合の会議では、場の緊張感やリアルな上司の視線などがあり集中力が持続しますが、オンラインでは自宅からの参加が多いので気が緩みがちです。実際にオンラインにおける人の集中力は5分とも10分とも言われます。会議の合間に休憩や雑談などを挿入し、参加者が常に脳内をフレッシュな状態を保てるようにしましょう。

 

オンライン会議に変更になった!さあどうする?社員(部下)編

ここでは、社員(部下)の視点で問題とされていることを挙げてみます。

1 会議の概要を事前に知らされていない、事前準備ができていない、期待値がわからない

オンライン会議はマネージャーや上司に何らかの意図や必然があって開催されるのですが、意外とその目的については事前に知らされていないことが多いです。そうなると、参加する側としてはこちらの期待値がわからないので意見しにくい状況になってしまいます。従来の出社スタイルでは会議以外でも上司と部下は日常的に顔を合わせ、お互いの仕事の進捗や問題意識を何となく共有できていたものですが、リモートワークが長く続くとそれらを“察する”ことができません。会議を主催する側からの説明はもちろん必要ですが、参加する側からも「会議の目的は?」「こちらに期待されていることは?」としつこいくらいに事前に確認しておくとよいでしょう。

また、会議を意味のあるものにするには、それぞれが周到な事前準備をしておく必要がありますが、突然集められ突然始まってしまった会議では、参加者は提供できるものに限界が出てしまいます。しかし会議は知識獲得のための学びの場ではありません。必要な知識はそれぞれが事前に獲得し、提供できる意見や見解をまとめてからの本番=会議なのです。会議の場において“会議でしか成し得ないこと”に集中するためにも、事前に個別できることはしっかりとやっておきましょう。

 

2 会議の進行がわかりにくい

オンライン会議ではPCやスマホのように、決して大きいとは言えない画面の中にすべてが詰まっているので、会議の進行がわかりにくいという問題があります。参加者の顔、資料のファイル、ホワイトボードなどが所狭しと画面にならび、あっちを見たりこっちを開いたりと操作に追われているうちに話がどんどん進んでしまうなんて事もあるかもしれません。会議の主催者が機能を使い分けることに長けていて、巧みに参加者を誘導できれば良いのですが、それでもやはり少しでも集中力を切らすと立ち位置を見失ってしまいがちです。このようにならないためにも、オンライン会議では進行役とは別に書記を決めるなどして会議の進行を可視化すると良いかもしれません。

 

3 会議に参加している人の全貌がわからない

そんな事あるの?と思うかもしれませんが、会議の参加者が参加している人の全員を知らないまま会議が行われていることもあります。会議規模にもよると思いますが、使用するアプリによっては参加者全員が画面に映らないこともあります。また、顔出しがなく音声だけの参加などでは相手が誰だかわからないこともあります。これでは会議の進行に支障をきたしてしまうので、可能な限り画面に全員が映るようにしてフルネームで参加したいものです。

 

オンライン会議とオフライン会議で何が一番変わるのか?

会議がオンラインになると、良くも悪くも会議を催すハードルが下がります。

某大企業の社長によると、今までは国際会議に出席する際には日程を確保できるのが最短でも2ヶ月後なので、2ヶ月先の社会情勢を踏まえて話す内容を考えなくてはならないので大変だったそうです。それが今では場所の制約から解放されたので、時間さえ合わせればすぐに会議を開催することができるとのこと。世界中に支社があるような企業においては国をまたいでの社内会議が格段にやりやすくなったことでしょう。どこにいても参加が可能になったということが最大の変化とも言えますね。

しかし、オンライン会議になったことにより「相手の心の機微が読み取れなくなった」という問題も起こっています。対面していれば「今日は調子悪いのかな?」「今日は何だか冴えているな」などと、その人を前にして感じ取れることはたくさんありました。しかしオンラインなるとその人の、特にメンタル部分の細かいところまではわからないので、発言の促しもやりにくくなってしまいます。また、オンライン会議では雑談が生まれにくいという事実もあり、実際に対面して会議を行なっている時よりも「本題以外は喋ってはダメなんだ」という強迫観念があるそうです。自宅などのプライベート空間から参加しているにも関わらず、オンラインならではの緊張感はあるのですね。

 

オンライン会議を円滑に進めたいなら、オンラインラーニングファシリテーターに学べ!

オンライン会議の需要が高まる中で、新たに「オンラインラーニングファシリテーター」という存在に注目が集まっています。

まず確認として、ファシリテーターとはそもそもの英語のfacilitate(ファシリテート)の意味にある「容易にする、楽にする、促進する」から、それをやる人という意味で理解されています。例えば会議などでは発言や参加を促したり話の流れを整理するなどして、場が円滑に進行するように中立的な立場でサポートを行うことが会議のファシリテーターの役割です。しかし、リアルな集合の会議のファシリテートとオンライン会議のファシリテートは大きく事情が変わってきます。オンラインラーニングファシリテーターはテクノロジーを駆使し、デジタルデバイスをフル活用して参加者の主体性を引き出さなくてはならないのです。しかし、これらはあくまで前提であって、その先の実際のオンライン会議では以下のような役割を果たします。

 

【安心安全な場をつくる】

オンライン会議では発言や発表のタイミングが難しく、何か言いたいことがあっても躊躇してしまうこともあります。そこでオンラインラーニングファシリテーターは、参加者に対して安心安全な場を作る役割を果たします。必要であればグランドルールを設け、個々の発言や発表を守り、尊重し合えるような環境をつくります。

 

【参加者同士の結びつきを促す】

オンラインでは双方向性を取り入れやすいという特徴もあります。マネージャーや上司が議論を一方的にリードするような状況にならないように、参加者の意見や見解を広くテーブルにあげ、共有できるように場を構築します。

 

【情報の選び方、組み合わせ方のガイドラインを示す】

オンライン会議では、会議の中で取り入れることができる要素が多すぎるので、それらをいかに効果的に組み合わせて設計するかが重要になってきます。参照する資料や映像などはインターネットから際限なく引用することができ、議論の進行中でも新たに加えることも可能です。しかし、ひとつの会議で必要な情報は意外と限られており、会議を設計する際には情報を取捨選択しなくてはならなりません。このように膨大な情報の中から必要なものを選び、その組み合わせ方を指南することもオンラインラーニングファシリテーターの役割です。

 

オンライン会議の質を上げるためにできること

ウィズコロナからアフターコロナになっても、オンライン会議の需要はなくならないどころか会議のスタイルの一つとして定着していきそうです。このような時代の変化に伴いオンライン会議の質をあげていくことは必須と言えるでしょう。上記で述べたようなオンライン会議の「困った!」からわかることとして、以下のような点に留意すると質の高い会議になりそうです。

・目的をはっきりさせる…「何のための会議なのか」その目的をはっきりとさせておきましょう!

・事前準備はきちんと行う…会議の目的を参加者に前もって伝え、それぞれが周到な事前準備をしておきましょう!

・参加者を巻き込む…オンラインの双方向性を生かして意見や発言を促し、参加者に当事者意識を持たせましょう

・問いかけの力をみがく…一方的にマネージャーや上司が会議をリードするのではなく、時に聞く側にまわって、参加者にも積極的に問いかけをして意見を拾いましょう。

・議論を見える化…会議の進行を可視化しましょう。書記や記録係を決めるとスムーズでしょう。

 

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