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コラム

ラーニングエコシステムで「仕事に組み込まれた学び」を実現する

ラーニングエコシステムとは

エコシステムとは「生態系」を意味しますが、近年「学びの生態系」、すなわちラーニングエコシステムをいかにして構築するかが世界的な人材育成・組織変革の1つとして注目されています。ラーニングエコシステムの学習コンテンツに対する考え方は2つあります。

 

既存コンテンツを積極的に活用する

ラーニングエコシステムは、学習コンテンツを新しく作るのではなく、優良な既存コンテンツを積極的に活用しようとする立場です。世の中は膨大な学習コンテンツで溢れており、学習者にとっては情報過多とも言えるでしょう。コストと時間をかけて学習コンテンツを新たに開発するよりも、既存コンテンツを取捨選択する方が生産的でスピードが速いわけです。

ラーニングエコシステムを実現するためには、学習者のための「何をどのような手順で学べば良いのか?」という情報を集めて整理するキュレーションと自律学習を支えるためのパスウェイ(学びのガイド)が不可欠です。

 

学習者自身がコンテンツを創造してナレッジ共有する

ラーニングエコシステムは、個々人がプロフェッショナルとして成長を可能とするための組織内リソースのすべてに及びます。学習コンテンツに加えて、上司・同僚・他部門・社外の「人」や「SNS」なども含まれます。たとえば、パテシエがレシピ―を公開して、お菓子作りの動画を社内の多店舗の同僚パテシエに配信して、ナレッジを組織で共有するなど、学習者自身がコンテンツを創造できることもラーニングエコシステムの特徴です。

 

なぜラーニングエコシステムが注目され始めているのか?

ジャストインタイムの学びを実現できる

世の中の変化はどんどん早くなっているため、企業内学習においてはその変化に対応することが重要になっています。学習コンテンツを開発しても「旬」はすぐに過ぎ去ってしまいますので、ITを利用した「ジャストインタイムの学び」を継続的にサポートすることが必要なのです。このような時代背景から年に1度か2度、研修所に足を運んで学ぶ状況から、「仕事の中で学ぶ」「仕事をしながら学ぶ」ラーニングエコシステムの考え方が注目されるようになりました。

 

モバイル環境で学びの効果測定が可能となった

従来の集合型企業研修には「学び」と「実務」の間に「溝」が存在しました。研修の効果は、現場に出て初めて分かるものです。しかし、学習したことが仕事のパフォーマンスに直結したかどうかを測定するためにはコストがかかり過ぎました。この点、ラーニングエコシステムの概念は「学び」と「実務」を同期させるものです。また、ネット環境やモバイル機器の環境が充実したことで、学びの効果測定も可能となり、エコシステムをつくりやすくなったと言えるでしょう。

 

ラーニングエコシステムをどう構築していくのか?

ラーニングエコシステムは5つの機能から構成されます。

Gardeners(学びの場)

学びの場は、組織内のチームに限らず社内外のコミュニティも含まれます。知識は人から人へ伝承されるものです。相互に学び合うコミュニティや環境構築が重要となります。

 

Pathways(自律学習を支えるガイド)

世界には無料で閲覧できる学習コンテンツが無数に存在します。また、学習者のバックグラウンドや必要とするスキルは一人ひとり異なります。個人は何をどう学んでいいのかそのコンテンツの多さに圧倒されることでしょう。そのため、ラーニングエコシステムの構築には、学習者一人ひとりの「自律学習」を支えるガイドが不可欠なのです。
また、当初は専門家がその知見を活かして、Pathway(学習のガイド)を提示しますが、学習者個人も専門家のものを参照しながら個々にPathwaysを創造できます。様々なPathwaysがデータとして蓄積されれば、AIがそれらのデータを分析して推奨するため、学ぶ道筋がさらに探しやすくなるでしょう。社内の各種ナレッジを学習のパスウェイに組み込むことで、より差別化された学習コンテンツが形成されます。

 

Streams(仕事に組み込まれた学び)

ラーニングエコシステムは「仕事の中で学ぶ」ことを前提としています。そのため「仕事で実践できる学習コンテンツ」「社内の担当業務で活用できる学習コンテンツ」が求められます。また仕事のルーティンの中に、学びのプロセスを埋め込むことも重要です。例えば、定例会議にリフレクションの時間を必ず取るということなどです。

 

Hothouses(新しいスキルを試す場)

実務で使える知識を習得するためには「アウトプット」が必要です。上司・同僚・コーチ・学習者間の「対話」「ロールプレイ」「ディスカッション」など、新しいスキルを試す場を構築します。従来の教室がこの役割になります。すなわち教室では、わざわざ一から知識を学ぶのではなく、集まってきた人たちと対話を交わすことで互いに教えあう体験をします。もちろん、教室だけでなく、バーチャル空間もあたらしい教室になるわけです。

 

Foundations(ナレッジサポート)

学びの環境を継続的にサポートするためには、必要な時に必要なコンテンツを即時提供・共有できる環境構築が求められます。ここには、外部のコンテンツベンダーとのリンクも含まれます。学びたいことを常に手にできる学習者中心の考え方が反映された仕組みづくりが大切です。

 

ラーニングエコシステムがもたらす効果とは?

ラーニングエコシステムは、社内外の学習リソースを個別に提示し、従業員の学習行動を継続的に記録することで「仕事に組み込まれた学び」を実現します。最も大切なのは「現場」における学びの仕組みをいかにして構築するのか?という課題です。現場の上司やリーダーが「学びの触媒」となり、チームメンバーと円滑にコミュニケーションをとりながら育成していくことが重要です。

たとえば、「リアル」と「オンライン」で学習環境をどのように構築していくのか?ということを教えている組織はほとんどありません。むしろ、「研修に参加させる」「自己啓発で学ばせる」ことくらいしかやってこなかった企業が多いでしょう。しかし、それでは時代の変化に対応できません。組織のリーダーは「自分のチームを学びの集団に変革する」という強い意識を持つ必要があります。

 

「ブレンディッドラーニング・デザイナー養成コース」で学び、現場で活かそう

「ラーニングエコシステムをどのように構築し、どう運営していくか?」ということは当協会の「ブレンディッドラーニング・デザイナー養成コース」で学ぶことができます。また、講座での学びの流れが「ラーニングエコシステムの流れ」になっているため、ラーニングエコシステムそのものを体感することができます。

コロナ時代、そしてポストコロナの学びの時代の最先端は、リアルとバーチャルが融合したブレンド学習の時代です。学習だけでなく、セールスも含めたビジネスの多くがこのブレンド型となるでしょう。

このコースは、社員の学習だけでなく、すべてのビジネスパーソンにとって必須のスキルとなることでしょう。ぜひ、この講座で来るべき時代にそなえましょう。

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