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コラム

企業研修の導入と流れについて

新たな学びを構築する日本フューチャーラーナーズ協会です。

「設立当初は数名しかいなかった社員が、気づけば数十人になっていた…。」これは中小企業によくある話です。業績を順当に伸ばし、会社として確実に成長しているのは嬉しい限りですが、ついつい後手に回ってしまうのが社内の人材教育。現場で東奔西走していたスタートアップメンバーもいつの間にか管理側の立場となり、働き方や考え方を分相応にシフトしていかなくてはなりません。そこで企業としては、管理側のスキルを身につけてもらうために企業研修を導入します。このような理由は一例ではありますが、企業が研修を考えるタイミングとして「会社が成長してきたから」というのは理にかなっていると言えますね。

そこで今回は、はじめて企業研修を導入することを考えている企業に対して、ファーストステップとしての準備から実施後のフォローアップまでの一連の流れを要点を絞ってお伝えしていきます。

 

「我が社でも企業研修を導入しよう!」まず何からやるべき?

今や企業研修といえばオンラインが主流と言っても過言ではないですよね。既に企業研修を導入していた企業も、はじめて導入するという企業も、オンライン研修という意味ではどちらもスタートは同じかもしれません。オンライン研修は従来の集合研修を“そのまま”デジタルにスライドさせるというものではなく、全く新しい取り組みを行うくらいの覚悟が必要になってきます。オンライン研修について詳しいことは後述しますが、まずは集合においてもオンラインにおいても変わらずに抑えるべきポイントと初動についてお話しさせていただきます。

企業研修の導入に際して、その手始めとして企業は以下の3つを明確にしましょう。

・研修対象者(管理職、営業職、新入社員など)

・目的とその背景(なぜ研修が必要なのか。その背景は?目的は?)

・到達点(どのくらいの期間で、どのような能力(スキル)を身につけてほしいのか?)

これらは研修を実施するにあたり抑えておくべき基本的なことですが、意外と曖昧になっている部分でもあります。特に目的と背景の部分はあえて言語化しなくても研修は成立してしまうので、深掘りしないままでいる企業も多いかもしれません。研修には時間も労力、そして費用もかかります。少しでも有意義で実りのあるものにするためには、研修の目的をはっきりを意識してから実施することが大事なのではないでしょうか。

そしてさらに導入する企業研修がオンラインとなった場合、以下の3つも初動として追加されます。

・社員のデバイス確認(一人一台、PCを使える環境にあるのか?個人のものを使用するのか?会社が支給するのか?)

・企業のネットワーク環境確認(容量、速度、セキュリティなど)

・研修担当者、受講者、双方のITスキル、ITフルーエンシー、ITリテラシーを確認

細かすぎる!と思うかもしれませんが、実は最も重要な部分がこれらなのです。集合がオンラインになるということは、住む世界も使用する言語も変わるようなもので。研修としての成功以前に研修として“成立”するかどうかがこれらの項目にかかっています。デジタルツールは利便性と引きかえに、ちょっとした不具合が命取りになる脆弱さも併せ持っているので、オンライン研修は十分に環境を整えてから確実な方法で行うべきです。決して無理をせず、企業のデジタル成熟度に合ったオンライン研修の内容を提供するように心がけましょう。

 

 

オンラインによる企業研修導入の手引き。事前・当日・事後という一連の流れを抑えよう!

これまでの集合研修がイベントだとしたら、オンラン研修はプロセスそのものです。企業研修を見切りのいい数日間という枠組みに収める必要がなくなったので、より長期的なスパンで内容を構築していかなくてはなりません。そこでは事前・当日・事後という一連の流れに沿った最適な設計が必要になってくるのです。

よく行われている方法として、知識獲得部分を各自が「事前」に行い、ディスカッション等の深め合いの学びを「当日」行う。そして現場に出てからの実践を「事後」として、その場でアドバイスやフィードバックをもらうというものがあります。実務の中でアウトプットしながら学びを定着させ、意識改革や行動変容に繋げていくこのスタイルはパフォーマンスラーニングとも呼ばれ、近年注目が高まっています。始まりもなく終わりもない、働いている限り続く学びなのでまさにラーニングジャーニーと言えます。細かい設計はさておき、まずは「企業研修はイベントではない」ということを根底に据えて導入を考えるべきでしょう。

そして、これら一連の研修をスムーズに進めるためには、オンラインの企業研修を支えるプラットフォーム選びが重要になってきます。テレワークの普及によりオンラインのプラットフォームも種類豊富になってきましたが、それぞれに特徴があり機能や使い勝手も様々なので、企業研修の導入にあたっては最適なプラットフォームを見つけることから始める必要があります。無料で使用できる単体の機能しか持たないものや、複数の機能の組み合わせによって最適化されたものもあるので、情報収集を怠らずに慎重に選びましょう。

 

変革期の学びとは。企業研修の進化は企業の成長に直結する

長期化するコロナ禍を考えると企業研修のオンライン化は必須です。昨年の春に手探りでオンライン研修を導入した企業も、一年以上が経過した今となってはノウハウが蓄積されたことにより次のフェーズへ進んでいる様子です。オンラインによる企業研修と言っても、その内容や実績には格差が出てきていることも事実です。

かつては一方向的な動画の配信だけでオンラインと言っていましたが、今や双方向性は当たり前になってきました。アンケートやクイズ、さらにはAI機能まで併せ持つプラットフォームもあるので、従来の集合研修よりも効果の高い学びが実現できている企業も多々あります。そしてそのような企業は、このコロナ禍でも確実に業績を伸ばしていることもまた一つの事実です。オンライン研修はまだまだ黎明期です。これから企業研修の導入を考えている企業は、是非オンラインの特性を最大限に生かし、社員のパフォーマンスに直結する学びを提供してみてはいかがでしょうか。