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コラム

遠藤太一郎 氏ご講演「Web3と未来の学び」レポート

2021年に続き、2022年10月30日〜11月8日、「未来の学びサミット」を開催。「人と組織の変容にどうかかわるか」をテーマに、6名の方にご登壇いただきました。AI歴25年、これまで数百を超えるAI・データ活用・DXプロジェクトを実行してきたDAO総研 ファウンダーであり、国立大学法人東京学芸大学 教育AI研究プログラム 准教授の遠藤太一郎さんには「Web3と未来の学び」と題してご講演いただきました。今回はその内容をダイジェスト版にしてお届けします。

 

遠藤太一郎 氏
DAO総研 ファウンダー
株式会社カナメプロジェクト 取締役CEO
国立大学法人東京学芸大学 教育AI研究プログラム 准教授

AI歴25年。数百のAI/データ活用/DXプロジェクトを手がける。1996年、18歳からAIプログラミングを始める。米国ミネソタ大学大学院在学中に起業し、AIを用いたサービスを開始。AIに関する実装、論文調査、システム設計、ビジネスコンサル、教育等幅広く手がけた後、AIスタートアップのエクサウィザーズに参画し、AI部門を統括。数人のチームからスタートし、組織開発しながら40-50のAI案件を並行して行う組織にスケール。上場後、独立。働き方や組織開発の視点からDAOの可能性に惹かれ、DAO総研を設立。

【遠藤太一郎 氏 ご著書】
「次世代AI戦略2025」ほか

 

Web3とは

Web3の登場によって、今後はどのように変化するのか。遠藤さんは既存のものが置き換わるのではなく選択肢が増えると話します。
まずは、Web3の概念をサーバーを例にして見ていきましょう。

  • Web1.0は、メールやホームページの閲覧など「一方通行」である
  • Web2.0は、SNSやブログなどプラットフォームを介して双方向でやりとりができる
  • Web3.0は、分散・自律がキーワード。これまで、サーバやプラットフォームなど中央集権型であったものが、管理者がいなくともデータのやりとりやコミュニケーションが可能になる

仮想通貨のBitcoinやイーサリアムはWeb3の体系をとっており、社長は存在しません。そして、このWeb3で欠かせない技術がブロックチェーンです。
ブロックチェーンとは、分散型台帳技術と言われるものです。通常、台帳というものは会社や管理者が管理し、オープンではないのですが、ブロックチェーン技術を使うことで、誰から誰に支払いされたのか記録された台帳が全てオープンかつ分散的に保持されるのです。

もうひとつ、Web3の特徴といえるのがトークン。トークンはブロックチェーン上で発行されるもので、事前に設定した条件に沿って自動発行されます。金銭的価値や活動の証明、貢献の可視化、投票権など様々な役割を持ち、誰にどのくらい発行されたかが全てブロックチェーンに記載され、誰でも参照できる状態なので、透明性の高いやりとりができることも特徴です。

X to Earn

このトークンがどのように私たちの生活に入ってくるのか。
その代表例が「X to Earn」。Xを行うことで稼ぐ、という考え方です。

有名なものだと「Move to Earn」の体系をとった「STEPN」。
歩くまたは走ることで稼ぐ、です。アプリ内でNFTであるスニーカーを購入し、実際に動いた分だけトークンをもらい、稼いだトークンは日本円に換金することができます。

経済の流れとしては、新規参入者による資金流入や別途課金を原資にしつつ、歩いたり走った人に対してトークンが支払われる仕組み。まずはユーザーを集め、歩く習慣をつけるなどして継続的な層を育てるのが狙いです。
しかし、トークン価値には変動があります。価格が落ちて儲からなくなってしまい、うまくいかなくなることは多いため、難しいと言われています。ただ、Web3系だとよく使われるビジネスモデルなので、最近はまた研究も進んでいるようです。

Learn to Earn~学んで稼ぐ~

では、学びにはどのように活用できるのか。
例えば、日本語のLearn to Earnのサービスには「PoL」があります。

https://pol.techtec.world/

学ぶとトークンを得ることができ、有料コンテンツの購入に使用できます。
この他にも「LetMeSpeak」という英語を学習するクオリティの高いアプリがあります。こちらは学んで稼ぐことができるもので、稼ぎ方は2つあります。ひとつは学習することで稼ぐ方法。もうひとつは先ほどのSTEPNと同様に、NFTのキャラクターを購入して育成し、そのキャラクターを売る方法です。

X to Learnは日本ではそれほど知名度は高くありませんが、東南アジアでは生活費を稼ぐほど認知度が高いものとなっています。LetMeSpeakやゲームをして稼ぐ「Play to Earn」では、お金のある層がキャラクターを購入し、購入はできないが時間がある人がそのキャラクターをレンタルで使用して稼ぎを折半するスカラーシッププログラムというものがあるほど、ひとつの稼ぎ方になっています。

また、トークンはそのもの自体が活動の証明となります。日本では、学歴詐欺などはそれほど多くありませんが、海外だと少なくありません。そのため、トークンを利用して学習証明、履修証明、卒業証明などに活用する事例が日本でも出てきています。

DAO型の学習コミュニティ

DAOとは、Decentralized Autonomous Organization。日本語にすると「分散型自律組織」といいます。定まった定義はありませんが、イーサリアム財団によると、「志を同じくする世界中の人々と協力するための効果的な安全な方法」「メンバーが共同で所有し、(中略)意思決定には提案と投票が用いられ、組織内の全員が発言できるようになっている」「すべてが公開されており、支出に関するルールは分散型自立組織(DAO)のコードを通じて組み込まれている」とされています。

全てではなく、上記の一部の考えを持っていることが特徴です。現在ではDAO型の学習コミュニティもあり、遠藤さんも所属している「UNCHAIN」では、「学習」「共同開発」「事業創造」の3つの価値を提供しています。

「学習」では、学び合い(ピア・ラーニング)を大切にしており、質問に対して回答したメンバーにトークンが発行されます。学習を進めて試験に合格すると、企業との「共同開発」に参加できたり、オリジナルプロジェクトを「事業創造」する機会を得られたりします。
相互に学び合うことで、コミュニティ全体の開発力が上がり、新たなステップに進む可能性が出てくるのです。

 

遠藤さんご自身も「DAO総研」を立ち上げ、DAO勉強会やDAOの運営方法やトークンや投票機能などから触れられる場を運営されています。

▼DAO総研
https://www.dao-research.institute/

▼DAO総研メディア
https://the-wave.xyz/

DAOの立ち上げまでを学ぶ!「Web3時代の新しい学びとDAO」

今回の未来の学びサミットでは「Web3」「Learn to Earn」「DAO」の基本をお話いただきましたが、2023年2月にも遠藤さんにご登壇いただき、Web3・DAOを概念からDAOの立ち上げ方まで学ぶセミナーを開催いたします。

・Web1.0 Web2.0 Web3とは
・DAO/NFTとは何か?
・DAOの仕組みの理解
・DAOの事例研究
・DAOの立ち上げ方
・任意課題
①招待DAOへの参加(DAOリサーチDAO)
②メタマスク(ウォレット)準備から参加トークン受取

▼日時
 2月11日(土・祝) 9:00~12:00

▼実施形態
 ZOOMでのライブ受講

▼費用
 ファシリテーター会員 9,900円(税込み)
 コミュニティ会員 12,100円(税込み)
 無料会員 16,500円(税込み)
※コミュニティ会員・ファシリテーター会員とは:ブレンディッドラーニングファシリテーター養成講座、ブレンディッドラーニングデザイナー養成講座受講生で年会費をお支払いいただいている会員の皆さま

▼詳細はこちら
http://ptix.at/pJe5LX

ぜひご参加ください。