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コラム

企業研修を「マイクロラーニング」で再定義し環境変化に対応する

新たな学びを構築する日本フューチャーラーナーズ協会です。

今回は学習効果が高いと言われている学びの手法、マイクロラーニングについてお話をします。

 

マイクロラーニングとは

マイクロラーニングとは、学習コンテンツを5分~10分程度の小さなサイズにすることで、学習内容の多様な組み合わせを可能にし、より個々人のニーズに合わせたコースを設計するという「考え方」です。マイクロラーニングは、決して新しい考え方ではありませんが、近年の企業内学習にとっては不可欠なものとなりました。その理由を4つの観点から説明しましょう。

 

マイクロラーニングが求められる理由

業務上の観点

多くの企業において「研修に費やす時間を確保できない」「従来型の研修が業務に直結しなくなってきている」といった課題があります。マイクロラーニングは、受講者一人ひとりのニーズに対応した短時間学習を可能にします。

 

受講者の観点

受講者からは「学習時間が長くなると集中力が続かない」「好きな時間・好きな場所でもっと手軽に学びたい」というニーズが高まっています。マイクロラーニングはこうした学習者のニーズに適応しているため、学習途中でのドロップアウトを防ぐことができます。

 

教育担当者の観点

多くの企業の教育担当者からは「教育プログラムの経年劣化が早くなった」「必要なコンテンツを即時提供する必要がある」「研修の効率化・投資効率化が求められるようになった」といった声を耳にします。また、労働市場の流動化やジョブ型雇用の導入が進む最中、受講者のバックグラウンドは多様化していく一方です。この点、マイクロラーニングは、教育コンテンツを素早く展開し、頻繁にアップデートすることが可能です。

 

学習環境の観点

テクノロジーの進化やスマートフォン・タブレット端末の普及から、学習者は「どこでも学べる」ようになりました。Eラーニングではなく、M(モバイル)ラーニングという言葉が主流になりつつあります。こうした学習環境の「変化」に対応すべく、マイクロラーニングで研修そのものを再定義することが求められているのです。

 

成否の鍵はアウトプットを実現できるコンテンツ設計

「マイクロラーニング」という言葉からは、知識を「インプット」することを連想しがちです。しかし、研修のゴールを「知識の習得」ではなく「実際にできるようになる」とするのであれば、「アウトプット」も意識したコンテンツを設計するべきです。インプットだけではなく、アウトプット、つまり実践的な「プラクティス」にもマイクロラーニングの手法を活かすのです。

たとえば「自分の意見を述べる」「試験問題を解く」「ロールプレイを投稿する」といったこともラーニングの一環です。事実、多くの研修で受講者から喜ばれるのは、グループワークなどを通じた対話です。学ぶ者同士が対話をする時間は、たとえ研修がオンライン化しても削ってはいけません。

マイクロコンテンツに「マイクロプラクティス」を掛け合わせること。つまり、インプットだけに留まらず「アウトプット」を実現できるコンテンツを揃えてこそ、ブレンデッド・ラーニングの理論を踏まえた学習環境が整備できるのです。

 

コンテンツの種類

学習目的別コンテンツ

学習コンテンツは、その目的別に「インプット」「アウトプット(練習)」「エバリュエーション(評価)」に分けることができます。「インプット」は、「動画」「音声スライド」「生放送」などを用いて行う知識・情報・ノウハウの習得です。

これに対して「アウトプット」は、「アンケート」「試験」「動画課題」「ディスカッション」などを含む広い意味での練習です。アウトプットをすることで知識やスキルの定着を促進します。

最後に「エバリュエーション(評価)」は、通常の試験のほか「動画試験」「音声試験」などの評価コンテンツを用いることで効率的な学習設計が可能となります。

 

ストック型・フロー型コンテンツ

学習コンテンツを「ストック型(知識型)」「フロー型(情報型)」に区分することもできます。

ストック型(知識型)コンテンツとは、蓄積することで価値を持つコンテンツです。ストック型は、「定番の基本スキル」「個人として能力向上につながる整理されたナレッジデータベース」のことを指します。

これに対して、フロー型(情報型)コンテンツは、時間とともに価値が劣化するコンテンツです。フロー型は、業務や行動に直結しやすいTIPSやコミュニケーション学習を中心としたものになります。日常的にわからないことがあった時質問して応えてもらうものなどがこちらにあたります。

そしてこの2つのコンテンツは、提供する順番も重要な意味を持ちます。たとえば、何か新しい仕事についたときは、体系的に学ぶ方が習得スピードを上げることができるため、ストック型の学びが大切となります。他方、日常の疑問点などにピンポイントで応えていくフロー型の学びを提供することがパフォーマンス向上に寄与する形となります。マイクロラーニングには、このストック型・フロー型コンテンツを意識したデザインが求められます。

 

「業務関連性」「練習」「フィードバック」を考慮した設計を

学習者の視点に立ち、学習の目的やシーンに応じて、複数コンテンツのブレンドを最適化するためには「業務との関連性が明確であること」「知識のインプットにアウトプット(練習)が組み合わされていること」「アウトプット(練習)にフィードバックがあること」が重要です。

 

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