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コラム

成人学習・起業の現場に最適なアダプティブラーニングとは

新たな学びを構築する日本フューチャーラーナーズ協会です。

今回は近年注目されている学びの手法、アダプティブラーニングについてお話をします。

 

アダプティブラーニングとは

アダプティブラーニングとは、受講者一人ひとりに最適な学習環境・学習コンテンツを提供することで、より効果的・効率的に学習を進める方法です。

これまでは、学習目標が明確で段階的に学習をデザインしやすい学校教育現場で多くの実践事例が積まれてきましたが、最近では、企業現場においても学習の重要性と個別化のニーズが高まり注目を集めています。その理由は以下のとおりです。

 

1)短期間で成果が求められる

ビジネスの世界では、これまで以上に成果を出すためのスピード感が求められており、リードタイムを短くするためには「ピンポイント」で必要なコンテンツを提供することが最も効果的といえます。

 

2)世の中が情報に溢れている

一般的な学習者は、世の中の情報量に圧倒されてしまい、集中力が保てず「何に取り組んだらいいのか困っている」のが現状です。無駄なく効率的かつ効果的に学びたいと思っている人にとってアダプティブラーニングは最適な手法と言えるでしょう。

 

3)テクノロジーやAIの進展

近年、大量の個人データの蓄積が可能となり、コンテンツのデジタル化、リモート環境で学習をすすめることが容易になりました。地理的・時間的な制約を受けないアダプティブラーニングを効果的に活用できます。

成人学習や企業研修は、そもそも個々人の「仕事」から学習の必要性が生じることも多く、学習へのオリエンテーションは「課題ありき」で提供されます。また、実際の仕事で即時に応用できるコンテンツが求められる傾向にあります。こうした観点からも、アダプティブラーニングは成人学習・企業研修にうってつけの学習手法と言えるでしょう。

 

アダプティブラーニングの具体的メリットとは?

成人学習おけるアダプティブラーニングのメリットは様々です。

 

データの可視化による「つまずかない学習」を実現できる

アダプティブラーニングで提供される学習コンテンツは、学習者の理解度や、学習者がどの単元でつまずいたか、などの情報をリアルタイムに収集することが可能です。つまり、「学習につまずかない」よう学習者をゴールへ誘導することに適しているのです。また、蓄積された学習データを活かして、コンテンツそのものが常にブラッシュアップされることも特徴です。

 

効果的かつ効率的な社員教育に活用できる

内定者や新入社員の知識量には偏りがあります。また、キャリア層の社員教育においても、社員一人ひとりの能力・知識量を把握し、それぞれのレベルに合わせた学習プログラムを用意し、業務の合間を縫って個別指導を行って能力を伸ばしていく、という形が理想と言えます。この点、アダプティブラーニングは、個々人に合わせたレベル設定で教育を実施することができます。

 

地理的・時間的制約を受けない

アダプティブラーニングは、従来の集合型研修と異なり「いつでも・どこでも」受講することが可能です。地理的・時間的な制約を受けないため、効率的な社員教育を実現できるのです。また、アダプティブラーニングを積極的に導入することで、企業の人材育成コストを削減できることも大きなメリットの1つと言えるでしょう。

 

アダプティブラーニングに求められる学習デザイン

成人学習に必要とされる学習量は膨大です。同時にそれらを適切なタイミング・サイズ感で、かつ相手の習熟度に合わせて提供することは容易ではありません。従来はコーチやメンターの存在が重視され、マニュアル的な指導が実施されてきた歴史もあります。

近年のテクノロジーの発展は「学び」に革命を起こしました。しかし、テクノロジーはすべてを解決してくれるわけではなく、あくまでも「学習デザイン」が大切であるということに変わりはありません。成人学習においてアダプティブラーニングが効果的に機能するためには、コンテンツの学習デザインに工夫をすることが不可欠です。具体的には以下のとおりです。

 

マイクロラーニング

マイクロラーニングとは、1分から5分程度の短時間で学習をするスタイルです。学校教育と異なり、成人学習では学習時間の確保が重要な課題となります。そのため、コンテンツのサイズを小さくすることが重要となります。たとえば、移動時間や昼食時間で学習する社会人が増えています。1度の学習に必要な労力も大きくないため、あまり億劫に思わずに取り組めるのも魅力です。

 

メタ認知

メタ認知とは、端的に言うと「学習者が現在地点を把握すること」です。学習コンテンツは「理解できたこと」と「理解できていないこと」を明確にできるデザイン設計が求められます。学習者の現在地を可視化することは、学習者本人の達成感を高めるとともに、客観的な効果測定が可能となります。

 

「日常の学び」をコンテンツに組み込む

成人学習は、研修等をベースとした実践型のコンテンツが求められます。フォーマルラーニングにとどまらず、実体験や実例に基づいた「日常の学び」が組み込まれていなければいけません。

 

「意図的な練習」を実施する

成人学習は「わかること」ではなく「できること」がゴールです。単に知識を身に着けるのではなく、当該テーマについて「自分の意見を交えて対話ができるレベル」に到達することが求められます。そのためには、実践的なロールプレイングを反復するなど、意図的な練習を実施することが重要です。

 

エビングハウスの忘却曲線を意識したフォローアップ

「エビングハウスの忘却曲線」とは、人が学んだことを忘れるまでの時間と記憶の関係を示すものです。人の脳は1度勉強したことを1時間後には56%忘れ、1日後には74%、さらに1週間後には77%、1カ月後には79%を忘れると言われています。学習したことを自分のものにするためには、この忘却曲線を意識したフォローアップが大切です。

これら5つのポイントを踏まえた上で、AIが学習を自動化してくれることが「未来の成人学習」におけるアダプティブラーニングの姿と言えます。

 

アダプティブラーニングが学習設計にもたらす効果

従来は学習者が1つのカリキュラムを同じ順番に学ぶことが一般的でした。しかし、アダプティブラーニングは、個々の学習進捗を分析した上での学習設計が可能となります。また、アダプティブラーニングは、客観的なデータの蓄積に基づいた学習設計を実現できるため、学習設計者の属人的な要素によって品質が変化することがありません。さらに、膨大な学習履歴のデータ活用は、学習設計の継続的な品質向上に資すると言えるでしょう。

 

現場で活かせる「ブレンディットラーニング・デザイナー養成コース」

日本フューチャーラーナーズ協会が開講している「ブレンディッドラーニング・デザイナー養成コース」は、学びのコンテンツ、デバイス、ツールなどの組み合わせによって効果的な社内研修や会議などを設計するための実践的な手法を学びます。完全オンライン対応の学習機会となっているので、これから常態化することが予想されるオンライン研修にも適用できます。

「ブレンディッドラーニング・デザイナー養成コース」は、これからの学びを牽引する企業の経営者の方や人事・人材育成担当者の方には是非受講していただきたい講座となっております。ご興味のある方は、是非お気軽にお問い合わせください。

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