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コラム

研修のオンライン化はポジティブな変化。ファシリテーターとして日々感じていることは?

新たな学びを構築する日本フューチャーラーナーズ協会です。

2020年は働き方・学び方において大きな変化が見られた一年でした。オンライン研修、リモートワーク、ズーム会議などは常態化され、企業は新たな課題としてこれらの質の追及や生産性の向上などに直面しているのではないでしょうか。

今回お話を伺ったのは、パーソルラーニング株式会社で研修講師として活躍する渡邉規和氏です。渡邉氏はコロナ以前から研修のオンライン化のニーズをいち早くキャッチし、学びを提供する側として今後必要になってくる数々のスキルを既に身に付けていたそうです。研修講師として日々の現場でリアルに感じていること、これからの研修のあり方などを率直に語ってもらいました!

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渡邉規和

略歴:新卒でパーソルキャリア(旧インテリジェンス)入社。結婚式2週間前に買収拠点である仙台に異動、仙台支店長、仙台市若年未就業者支援事業責任者。東京帰任後、BPO事業PMとして新規受託案件を9つ立上げ。出資会社KDDIまとめてオフィス人事部出向。人事コンサルタントを経て、2018年富士ゼロックス総合教育研究所入社。2019年7月会社ごとパーソルグループ入りし、古巣に出戻り。現在はトレーニングパフォーマンスコンサルタントとしてリーダー革新・営業革新を中心に組織人材開発に従事。

 

コロナ禍により研修のオンライン化はどのように進んだ?企業の葛藤とは?

今春のコロナパンデミックは新入社員研修を直撃しました。企業は研修のオンライン化を余儀なくされ、私たちも研修を提供する側として必要に駆られて実践を通じてオンライン化のノウハウやスキルを身につけていったというのが正直なところです。

私たちは学びを提供するリーディングカンパニーとして、いち早くサービスのオンライン化を進めなくてはならなかったのですが、当初から危機感を持って対応している社員はまだ少数派でした。多くの社員はお客様企業の状況を見つつ受け身を取ろうとしていました。そしてコロナ禍が落ち着けば集合研修が戻ってくる、それまでの一時しのぎだと考えていたからです。しかし緊急事態宣言が出され集合研修が成立しなくなる状況になってようやく「どうしよう、困ったな」となったわけです。とはいえ「困ったな」で思考が止まってしまっている社員も少なからず見受けられました。しかし私としては「どうしよう」ではなく「どうにかしないと」と考えていました。対応方針と方法を考えて迅速に実行することが大事だ、と。私はむしろ未体験のことや変化をポジティブに受け止め、企業としても個人としても新たな活路を見出すチャンスと考え、新しいスキルを身に付けるために自分から様々な学びに手を伸ばしました。ブレンディッドラーニング・デザイナー養成コースはその際たるものです。

社内にいる私と同じような考えを持った社員とともに、それぞれが新しく体得した学びを会社に持ち帰り、その意義や必要性をしつこく周囲に説いていました(笑)。その甲斐あって、今ではオンライン化に向かう社内の温度差はほとんどなくなったと思います。

 

研修のオンライン化でファシリテーターとして苦労したところは?

私は研修講師としてオンライン化された研修の現場に入りファシリテーションをしています。従来の集合研修の時に行なっていたファシリテーションと比べると、応用できる部分もある一方で、全く新しいスキルが必要になってくる部分もあります。オンライン研修では言うまでもなくデジタルデバイスを使用してその特性を生かしながら学びを構築していくわけですが、最初のうちはそれらを習得するのに苦労しました。提供する側のITスキル、ITリテラシー、フルーエンシーは前提ですが、学びの現場では受講者にも一定のレベルが求められます。私はファシリテーターとして受講者がストレスなく参加できるように、操作性においてはできるだけ丁寧にガイドするようにしています。

またこれもオンライン対話ツールの特性に関係しているのですが、物理的に見えている範囲が画面に収まってしまうので場の全体を俯瞰することができません。議論が盛り上がっている様子、あるいは停滞している様子、それから受講者の顔色や心の機微を感じることができないので、こちらとしても最初のうちは手探りで進めていました。

しかしそれで諦めてしまうということではなく、オンラインでも使い方次第では細かいフォローが可能だということがわかってきました。ハンドサインや反応マークなどで反応を引き出したり、チャットで理解度を5段階で表現してもらったり、質問や意見を表出させながら参加者の主体性を引き出す工夫を随所に散りばめています。オンライン化にあたって手間が増えたことは確かですが、今はオンラインならでは、デジタルテクノロジー活用ならではの「効果と成果を高めるための関わり方」を模索しながら楽しんでやっています。

 

研修をオンライン化する際に注意すべき点は?

集合研修において豊富なノウハウを持ち合わせており、質の高い学びが展開されていたとしても、それをそのままオンラインに移行しようとするのは間違いと言えます。集合研修とオンライン研修は似て非なるもので、本質が全く違うからです。

オンラインにおける人の集中力、消耗度、ストレスなどは集合時のものと全く違います。リアルでは五感を機能させ、空気を感じたり、互いを察したりすることができますが、オンラインでは視覚と聴覚に限定され、よほど集中していないと簡単に学びから離脱してしまいます。受講者目線で考えるとオンライン研修というのはなかなかハードルが高いのかもしれませんね。

これらを踏まえると、研修をオンライン化するということは全く新しい学びの形をデザインする作業と言えます。学びの目的は変わらないにしても、その目的に到達するまでのプロセスは大きく変わってきます。コンテンツ、メディア、ツールの組み合わせ、手法の選択、時間配分、双方向性、受講者同士の関わり合い、インプットとアウトプットのバランスなど、学びの要素を今一度精査し、再構築するということです。時間がかかる作業かもしれませんが、学びのデザインこそが研修を成功に導く鍵と言えると私は考えています。

 

これから研修でファシリテーターに求められる役割とは?

ファシリテーターの役割は研修のオンライン化によって大きく変わりました。従来型の集合研修では参加者の主体性を引き出し、場が活性化するように促すという役割が中心でしたが、オンライン化により研修時のデジタルツールのガイダンスや参加度合いの確認も加わりました。そして、こうしたデバイスやツールを活用して主体性を引き出し、場を活性化させることも求められるようになってきています。テクノロジーの発達は学びのシーンやスタイルを多様化させましたが、効果と成果につなげるにはスキルも慣れも必要です。そこをきちんと面倒見ることは重要ですね。

そうなってくると学びの設計段階から、実際に現場で学びを牽引する立場としてファシリテーターが参画することも求められるようになってきます。幸い私もそのような機会をいただくことが多くなってきました。学びの中でどのように効果的にテクノロジーを入れるか…その手法を知らないと良質なオンライン研修は実現できません。ファシリテーターが設計段階から学びに関わることができるのは良い傾向だと思っています。

 

ブレンディッドラーニング・デザイナー養成コースで身につくスキルとは?

日本フューチャーラーナーズ協会が開講している「ブレンディッドラーニング・デザイナー養成コース」は、学びのコンテンツ、デバイス、ツールなどの組み合わせによって効果的な社内研修や会議などを設計するための実践的な手法を学びます。完全オンライン対応の学習機会となっているので、これから常態化してくるだろうオンライン研修にも適用できます。講座では以下のスキルを身につけることができます。

1.新しいテクノロジーを活用し、主体的で協働的な学びを体験しながら、自分でも設計できるようになる
2.集合と個別、2つの学習機会を使い分け、学びの生産性を高めることができるようになる
3.効果的な学習機会を創出するために、既に確立されている理論と新しい理論の両面をおさえ、効果的な学習の場を企画・運営できるようになる
4.デジタル学習コンテンツ制作の基本を、自分自身でコンテンツ制作する実習を通して、時間もコストもかけずに制作できるようになる
5.新しい技術に関する情報を取捨選択する知識ベースをつくり、継続して学び合う仲間を得ることができるので、新しい学びの最新知識や生の事例収集が容易になる

学びは進化し続けています。旧来の学びは“教える”“コントロールする“ことをベースにした「教える人が主役」の学びでしたが、今は”主体的な学びを促進する“ことをベースにした「学ぶ人が主役」の学びに変わってきています。
「ブレンディッドラーニング・デザイナー養成コース」は、これからの学びを牽引する企業の経営者の方や人事・人材育成担当者の方には是非受講していただきたい講座となっております。ご興味のある方は、是非お気軽にお問い合わせください。

 

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